長女の出産
最初の子は女の子、結婚5年後のことでした。
当時の私は大型長距離トラックドライバーでした。
東京便。3日で1行程。家を出て2日後に帰ってきます。
それを週2便、1日休みでちょうど一週間というサイクルでした。
週のうち4晩は家に帰りません。東京か、高速道路を走っています。
近所付き合いはごくふつうでしたが、友達みたいに気軽とか親密なつきあいはありませんでした。
つまり、「産気づいて、いざとなったらどうするの」という環境です。
妻の実家は市内で、クルマなら10分。
当然のことながら、出産予定月間近になったら実家にお世話になるつもりでした。
ところが親父さんが無神論者で「宗教なんかやるのはバカ」でした。
付き合いや会社の行事なんかでのお参りは「適当にあわせておく」という人でした。
偶像崇拝、他宗教の行事参加を絶対否定し、唯一の神様に忠実に従うキリスト教は彼にとって「きちがい」でした。
それで、親父さんはこう言ってきました。
「そんなに神様がだいじなら、おなかの子は神様にめんどう見てもらえ」
わが子の出産に関しても、「知らん、勝手にしろ」ということでした。
私はそれを妻から聞いたとき、ちょっと考えて
「おやじさんの言うことは正しい。そのとおりだ。神様が面倒見てくださるから、そうしようじゃないか」と妻に言いました。
そして祈りました。
「神様。実家のお父さんは、あなたを礼拝する私たちを嫌い、出産にかかわる面倒は見ない、知らないと言ってきました。「そんなに神様がだいじなら神様に面倒見てもらえ」とのことです。彼の言うことは正しいと思います。主よ、あなたはご自身のみことば(聖書)で、「わたしは産ませるものだ」と宣言しておられます。また、「すべてのことには時がある」と、「産ませるのに時があり」と言われます。また、「神はあなどられる方ではない」とも書いてあり、またさらに「あなたを待ち望む者は恥を見ない」とも書いてあります。「主に信頼せよ」とあります。
神様、あなたにより頼み、あなたにゆだねます。あなたが私たちを守り、産まれてくる子を祝福してください。親父さんは神などいないと言いました。生ける神であるあなたの栄光をあらわしてくださることを感謝します」
そう祈りました。
ある夏の日、私はいつもより遅れて香川に帰ってきました。荷物の関係で前夜の東京出発が遅れたのです。通常、昼過ぎには高松のターミナルに荷を下ろして完了になります。
その日、家に着いたときはもう暗くなっていました。
帰ると妻が「何か変だ」と言います。
おなかが、なにか変だと言うのです。
「どんなふうに、何が変なんだ。痛いのか?」
私はとにかく産婦人科に行こうと、妻をのせて病院に走りました。
妻が診察室に入って、しばらくして看護婦さんが
「もう開いてきています。もうすぐ産まれますよ。よくがまんしましたね」と私に言いました。
私は「あっ」と思いました。
神様にゆだねてしまってたので、何も考えてなかったのです。
当時東京行きの定期便トラックドライバーは3人で1チームでした。3日の行程ですので3人(3台)で(毎日1便出発を)まわしていたのです。
年末年始や盆の時期はちゃんと休みのある運送会社でした。長い休みは応援の運転手が入って、一人ずつ順番に休みをとるのです。
私に割り当てられた盆休みは、ちょうど家内を病院に連れて行った翌日から1週間だったのです。
私はこのことを通しても「神様イエス様はご自身の言葉を守られる方だ」ということを確信したのでした。
長女。高松市内の栗林(りつりん)公園にて。
この写真は4トン車。仲間が撮りました。